大阪の建築家|関西一円(神戸・淡路島・奈良)の注文住宅などの建築設計事務所

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お客様の声

VOICE

神戸N-house 『キッズ+シンプルモダンの家』

モダンリビング No179 JULY 2008より抜粋

暖かい家

今回紹介する住まいは、これまでこのテーマで取り上げた住まいに比べると、敷地に余裕がある。そのため南に向かって大きく開いた「コの字型」に建物を配置し、光を取り込むことを考えた。

住み手のNさんがそれまで暮らしていた家は、冬になるとスケートリンクのように冷え込み、寒さが猛烈にこたえたため「暖かい家」を第一に望んだ。また、居心地がよくたくさんの人に集まってもらえ、 訪れた人がリピーターになってもらえる家、そして、何より4歳、2歳、0歳の子供たちの子育て中心の家になる事を求めた。

プランづくり

建築家の木下さんは住み手の要望をほぼ全て反映させるプランづくりを心がけている。暖かい家という希望に対し、リビングの南面を1階、2階とも大きな開口部とし、太陽の光を部屋中に導くプランに。
また、断熱を完全にした上で床暖房、全館空調など、さまざまな暖房方法を検討。その中から選んだのは「サーマスラブ」だった。木下さんにとっても初めてだった「サーマスラブ」は建物の基礎部分にヒーターパネルを敷きこみ、夜間電力を使って土壌に蓄熱し、24時間放熱させて輻射熱で住まい全体を暖めるという方法。
2度の冬を体験したNさん夫妻は、「床は温かくならないし、室内の気温もそれほど高くならないですが、1階も2階も家中どこにいても寒さを覚えることなく快適で、底冷えの逆のような感じです」と話す。ランニングコストも床暖房より少ないそうだ。また、断熱材にセルロースファイバーを吹き込んだことで吸音効果が高まり、外部からの音が伝わらず、外部にも音が漏れない住まいになった。
LDKは南側のコートと一体に使えるよう1階に。現在は子供たちの遊び場で、お客さまの寝室にもなるタタミルームも含め30畳ほどを確保。ゲストがたくさん集まっても狭さを感じさせず、あちこちに人の輪ができるスペースが生まれた。

キッチンは奥さまが憧れていたアイランドタイプに。くるぐると回遊することのできる行き止まりのない空間にしたかったのも理由のひとつ。

リビングの上部は吹き抜けにして2階と連続した空間に。吹き抜けに面した子供室と書斎には1階を見下ろす小窓をつくり、家族はどこにいても気配を感じることができるようになっている。キッチンからカウンター、洗面室、洗濯コーナー、バスルームを一直線に続くように配置。洗面室、バスルームともサービスコートを挟んでコートに向かい、リビングからもコート越しに視線が届く。

光に包まれた内でもあり外でもあるサービスコートは、子供たちの遊び場にもなり、家事スペースとしても便利に使うことができる。

建築家選び

Nさんは建築プロデュースを営むリクレアに、設計を依頼する建築家選びを相談。担当した石田さんと共に設計コンペを行い、木下さんを選んだ。
木下さんに頼む事を決めたのは、建築に対して理想と現実のバランスがとれていると感じたため。

そして、もうひとつ重視していた、話しやすい人だと思った事も大きかった。

木下さんは一緒に設計をしていくという意識を常に持ってほしい、とNさんに話し、Nさんもどんどん木下さんや石田さんに相談することで住まいづくりへの意思をひとつにすることができた。

コストと選択

木下さんは常に決められたコストを守ることも心がけており、設計が終わる頃になって、希望していたことをあきらめざるを得ない状況が起きないように考えている。

もちろんコストを下げるために仕上材や設備を変更することもあり、この住まいでもコストを考え、壁や天井の仕上げをペイントからクロスに変更するなどしたが、話し合いを重ね住み手が納得したうえで決定している。

デザインの決め方

サーモンピンクの大型のソファを選んだのは奥さま。このカラーがインテリアのポイントになるため、家具を配置したパースをCGでつくり床や壁面の色を変えて、それぞれの雰囲気を比較。結局、白を基調にしたシンプルなインテリアと濃い茶色の収納扉などのコーディネイトに決定するなど、家づくりのすべてにNさん夫妻も参加して進められた。

テレビ局の照明技師をしているNさんの、小さなスペースでよいから書斎が欲しいという希望は2階に実現。
Nさんが求めたキオスクのようなイメージになった。奇抜すぎずシンプルな外観で、家族の暮らしが伝わる温かい住まい。

木下さんに求めた「ものすごく使いやすく、そこそこかっこいい家」が実現され、Nさん夫妻も満足しているそうだ。

取材者Naの視線

Nさんの住まいは暖かい。しかし、エアコンやストーブ、床暖房などによるからだが直接感じる熱ではなく、住まい全体の空気が寒さを感じさせない。それが「サーマ・スラブ」の効果だという。

そして同じように住まいがもつ温かさも伝わる。Nさんは雑然とした整理されていない空間はいやだが、クールで生活感を感じさせない暮らしも望んでいなかった。

それにこたえて木下さんがつくり出したプランに、Nさんの家族が日々の暮らしで培った匂いが温かさを生む。建築家の手を離れ、上手に住みこなした本当のわが家になった。

大阪I-house 『狭小+ミッドセンチュリーの家』

アンド・ホーム Vol04 2005 より抜粋

限られた空間を有効に使った明るく開放的な家づくり

結婚に伴い、実家のあった場所に新居を建てることになったIさん。
敷地は約15坪で、三方を家に囲まれた狭小地ですが、イームズのチェアなど、以前から収集しているミッドセンチュリーの家具が似合う家にしたいと希望していました。

そこでインターネットを通じて、建築家に設計コンペへの参加を募ることのできるウィークエンドホームズ社のシステムを利用。
家のイメージをもっとも理解してくれた木下さんと栗原さんのチームに設計を依頼することにしました。

Iさんが出した第一条件は、空間全体に光が行き渡る、明るい家であること。そこで、敷地の中でもっとも日の当たる南西部分に坪庭を、1階に和室、2階にLDKと1フロア1ルームを基本に3階に寝室と将来は子供部屋になる書斎を設けました。
「限られた空間でも、オープンスタイルにすることで、明るく見せることができます。」と建築家の木下さん。

縦長の引戸で天井の高さを強調、階段の壁には半透明のツインカーボを用いて圧迫感をなくします。

これだけは譲れなかった私たちのこだわり

狭小地でも、すべての部屋で採光と風通しを確保したい。
もっとも光が入る部分に坪庭とテラスを設けたかった。2階の通りに面した側は全面窓にし、視線を遮る花置き台を置いて解決。
光が反射して明るく見えるよう、壁は白に。

限られた予算でもチープな印象にはしたくない。
天井の構造材などはすべて隠し、合板など質感がそのまま出る素材を避けた。壁はシンプルな白のクロス貼りにし、着色した杉の無垢板を貼ってアクセントに。